健康プライスレス

私には食べ物のアレルギーがある。

主にリンゴ、モモ、サクランボなどと、そのほかいくつかの果物が食べられない。

果物以外では、豆乳や豆腐といった火の通っていない大豆加工品や、エビ、カニなどの甲殻類も食べられない。

 

これらを食べると口の中が痒くなり、唇や喉の辺りが腫れてくるのだ。

これがつらくて、それらを食べるのはやめてしまった。

 

病院で医師の診察を受けてわかったのだが、口腔アレルギー症候群というものだった。

花粉症になった人が、その花粉の中のアレルギーを引き起こす物質と、同じ構造の物質を持つ食べ物を食べると口の中が痒くなるなどの症状が表れることがあるのだ。

 

それほど重くはないので花粉症ではきちんと受診はしていなかったのだが、症状の出る食べ物の種類から考えて、私はシラカバ花粉の花粉症ではないかと思われる。

 

その際自分で少し調べてみたのだが、シラカバの木は主に東日本に自生していることがわかった。

それを知っていろいろと合点がいった。

 

花粉症の症状が出始めたのも、リンゴなどの果物を食べて口の中が痒くなるようになったのも、すべて大阪から千葉に引っ越してきてからのことなのだ。

 

大阪に住んでいた小学生くらいまでのころは、確かに果物もなんでも食べられていたし花粉症の覚えもなかった。

おそらく、こちらに引っ越してきてシラカバの花粉症になり、それと関連して口腔アレルギー症候群も引き起こされたのだろう。

 

花粉症自体にはさほど悩まされているわけではないのに、合併症のほうが重くのしかかっているとはなんとも複雑である。

 

花粉症や口腔アレルギー症候群と関連があるのかはわからないが、最近の3、4年で表れはじめた体の不調がほかにもある。

 

高校2年の体育祭の日の夜のことだ。

私は疲れたので家でのんびり過ごしていた。

いつものようにおやつを食べながらゆっくりしていると、突然体じゅうのいたるところが沸き上がるように痒くなった。

びっくりしているうちに唇から頬、耳、まぶたなどがぶくぶくと腫れあがってきた。

顔の腫れが酷くて気が回らなかったが、全身のあらゆる場所の皮膚もぼこぼこと腫れ上がっていた。

パニックになっていると今度は下腹部を強く押されるような、刺されるような強烈な痛みに襲われた。

もう座っていることもじっとしていることもできずに、床の上でのたうち回っていた。

冷や汗が止まらず、あまりの痛みと痒みにうなり声を上げずにはいられなかった。

 

あぁ、死ぬかもしれない、と生まれてはじめて本気で思った。

 

これは尋常ではないと思った母に連れられ、近所の大学病院の救急へ向かった。

急病で病院を訪れている人は思っていたよりも多かった。

待合室の長椅子が埋まるほどの人が診察を待っていた。

 

私はぐったりとソファで半分寝そべるようにして順番を待った。

腹痛はピークを過ぎたようだったがまだかなり痛んだ。

心なしか、熱もあるようだった。

 

苦痛に耐えながら待つ時間は地獄だった。

 

やっと診察室へ呼ばれ、問診と、診察台へ寝て触診を受けた。

その場での処置はなにもできることがなかったらしく、症状を抑える薬を出され、その日は家に帰った。

 

医師の話では、これらの症状は血管性浮腫というものだそうだ。

蕁麻疹と併発することもあり、症状も似ているが別のものである。

多くの場合、唇やまぶた、頬、喉の辺りが腫れあがるが、まれに消化管でもそれが起こるそうで、私の腹痛はこれによるものだった。

 

原因はわからないことがほとんどで、状況からして疲れと日光をたくさん浴びたことなどが重なって出たのではないかということだった。

 

薬によって症状はなんとか治まった。

しかしかつて経験したことのないほどの痛みと不安だったため、しばらくは心も不安定な日が続いた。

 

それから数年症状は出なかった。

しかし大学2年で、再び蕁麻疹が出るようになった。

夜中バイトから帰り、家でゆっくりしていると以前と同じように体じゅうから沸き上がるような痒みが襲ってきた。

 

また血管性浮腫かもしれない…!

数年前を思い出してすごく怖くなった。

だがそのときのように腹痛がくることも顔が大きく腫れあがることもなかった。

ただ腕や脚、背中、胸、首など全身に強い痒みを覚え、かいてしまった部分は赤く腫れていた。

 

数日後皮膚科へ行くと、ストレスによる一時的なものだろうと飲み薬を処方された。

薬を飲むと症状は治まったが、それから毎日蕁麻疹は出続けた。

 

そして治まらないまま1年以上が経ち、現在にいたる。

一時的なものかと思っていたが、蕁麻疹は慢性化してしまったのだ。

結局今でも通院と薬の服用を続けている。

 

最近の自分の体について書きだしてみたが、意外といろいろ患ってきたなと思う。

もっと大変な病気をかかえている人もたくさんいるからこれくらいで弱音は吐けないが。

 

私は体調が悪くなることが多く、周りの人からまたかという顔をされることもたまにある。

でも、私も好きで体が弱るわけではないのだ。

 

やはり健康でタフな体であることは、何にも変えがたい財産だと、心から思う。

怪訝な顔をする人たちがなんとかして自身の健康に、強い体のありがたさに気づいてくれることを切に願っている。