ぱっと見ではわからない

昨日、付き合いも長くて普段からよく一緒にいる友達と、私たちの共通の知り合いに久しぶりに会った。会うのは半年ぶりほどになる。

私たちに会うなり知り合いは、

「わ〜〜久しぶりー!!なんかめっちゃ大人っぽくなってる〜〜」

と私に、

「全然変わってないねー!」

と友達に言った。

久しぶりに会った知り合いに全然変わってないと言われて、普段そこまで友達との会話では波風立てないタイプのその友達が、

「変わってないって言われんのめっちゃ嫌だわー。」

と何回も言っていて、かなり不本意そうにしていた。

私は家に帰ってからも、なんとなくこの場面がずっと頭に残っていた。

 

変わってないと言われて嫌だったということは、きっと友達には、自分は前のままじゃない、変わっている、良くなっているという自負があったのだろう。

だから、全然変わってないと見られたのはかなり不本意だったに違いない。

 

しかし私はその友達が自分で思っているように、ちゃんと変わっているのを知っている。

それはぱっと見の雰囲気ではなく、内面的なものである。

 

今でこそ気の置けない間柄で打ち解けているが、私が出会ったばかりのころその友達はかなりドライな性格だった。初対面のときはもう目で見えそうなほど壁を作られているのを感じていた。

ある程度打ち解けてからも、基本的に冷めているというか、沸点が高いタチだった。

しかしちょうど1年ほど前、その友達が人生でいちばんと言っても良いくらい好きな人に出会った。

その人を好きになってから友達は見違えるように変わった。

以前はひねくれていたし、素直じゃなかった。仲良くなっても自分の本心をあまり出そうとしない人だったのだ。

それが、好きな人のことを話すようになってからは、会えずに寂しい気持ちや嫉妬する気持ち、焦がれる気持ちをありのまま話すようになった。

なんというか、以前には見えなかったその友達の人間味というものが、好きな人に接したことで表に出てきたような気がした。

恋をして駄目になっていく人もたくさんいるが、友達は良いほうに変わっていた。

私はそれを感じてとても嬉しかった。好きな人のおかげで、やっとその友達が持つ本当の性格や新しい一面に出会うことができたのだ。

それを本人に言うと、自分でもその変化を自覚しているようだった。

 

そんなことがあったので、昨日知り合いから友達が「全然変わってない」と言われたときも、そんなことない、この人は本当はちゃんと変わってるよ、と思った。

本人も不本意そうにしていたが、友達の劇的な変化を私も目の前で見ていたのでその後もしばらく考え込んでしまったのかもしれない。

 

とはいえ、その時に知り合いが言ったのはぱっと見の印象が変わってないということなのだろう。

会った一瞬で内面の変化を捉えるのはなかなか難しいのかもしれない。

 

内面の変化には長く身近にいる人間が気づきやすく、外見の変化には久しぶりに会う人間が気づきやすいのかなと思った。

深く知るには長く一緒にいる必要があって、長い時間を経てこそ良いところにも悪いところにも気づける。

反対に、外見の細かなところに気づくにはある程度会わない期間が必要だ。

よその子は本当にすぐ大きくなると毎年届いた年賀状を見ながら親が言っているのもよく聞く。

いくら内面が変わっていたとしても、ぱっと見ではやはり表面上のことしか見えないのだ。

 

だが、内面が変われば、多かれ少なかれ外見にも変化が表れると私は思う。

目鼻や口の形が変わるという話ではなく、表情や立ち居振る舞いが変わるのではないかという話だ。

その友達もひねくれた性格が前面に出ていたころはいつもつまらなそうな顔をしていたが、好きな人と接しはじめてからは目に光が宿ったように見える。

私が思っただけではなく職場の人からも、人間味が出てきた、表情が変わったと言われたそうだ。

 

しかし昨日のことを考えると、やはり表情に表れていたとしても少し話したくらいでは、本当の内面まで捉えるのは難しいらしい。

長く一緒にいるということの持つ力の大きさを思い知る出来事だったように思う。

そして私は自分が少しの時間しか会えない人たちに思いをめぐらせた。

 

会う人会う人全員と長く一緒にいるのは不可能だ。

だからこそ、少しの時間しか会えない人のことをその短い時間だけの印象で勝手に判断するのは危険なことだと思う。

あなたってこうだよねと、その場でのその人を見ただけで決めつけてしまってはいけない。

 

職場だったら職場、学校だったら学校、家だったら家での振る舞いが違う。

いつも一緒にいる友達、家族、好きな人、久しぶりに会う人の前での顔もそれぞれ違うだろう。

それはぱっと見ではわからない。自分は自分としてしかその人と接することができないから、ほかの人への顔とは比べようがない。

なので私は、たまにしか会えなかったり、バイト先や学校で最低限の時間しか会わないような人のことを、そのときの私に対してだけの印象で判断しないような想像力を持っていたいと思っている。